隣の席のあいつ



家の前まで着くと、小畑は表情を変えずに背を向けて歩き出す。



『ありがとう』って言わなきゃ・・・。

送ってもらったんだから、ちゃんと言わなきゃ。



なのに、言葉が詰まって出てこない。




「お・・・小畑っ・・・」



何とか呼び止める。

小畑がこっちを向き直る。



「あの・・・えっと、ありがとう・・・送ってくれて・・・」



昨日はスッと出た言葉が、今日は出ない。

声を出すのがつらい。



「・・・・・・・・・・・・・・・おう」



小畑はひと言そう言って、帰って行った。



遠くなっていく背中を見ながら、胸がキュンとなるのがわかった。



小畑が優しくて、口下手で、不器用で・・・。

この3日間、小畑とかかわって・・・。



イラッとさせられたり、キュンとさせられたり。



小畑は本当にずるい。

無口で無表情の下にある優しさが、私の心をつかんで離さない。






小畑のこと、好きになっちゃった。