俺の言葉をよぎって真羽の声がした。その瞬間、俺は奴を突き飛ばした。なんつっか反射的に。


「進真くんは、とーてもとーてもだいだいだいだーーい好きな女の子がいるんだぁー、兄のせっかくの恋を邪魔しないでね?」


真羽…笑顔が怖い…。
てか、別に好きな奴なんていねーし!!


「ひ、酷いっ!!あたし、進真くんが好きなだけなのにっ」


そう言って奴は逃げるように帰って行った。


いやいやいや、俺、なんかしました?


「全く、とんだ女子ね。」


ふぅっと人堂立ちをして奴を目で見送っていた。


「全くだ。だいたい俺、好きな奴いねーんだけど」


奴には「好きな奴がいる」なんて言ったけどそれは、そこから言い逃れるためだけで…