「・・・ぅわ」


 事態に気付くのが遅すぎるサーファー。
 悠は、彼が岩場に激突する直前、防御の壁を彼の前に作った。
 波しぶきにかき消され、一瞬だけ彼の姿が見えなくなる。
 しばらくして他の仲間がボードにしがみついている彼を助けに近寄ってきた。
 大丈夫か、と心配する仲間に、本人は何が起こったのか分からないというように首をかしげていた。
 悠は、そっとその場から立ち去る。


(これも、事件かな)


 些細な、毎日繰り返される事件。
 思わずまた、苦笑する。


「掃除、終わったかなぁ」


 呟いて、家の方へ歩きだす。
 結局、自分と美樹が掃除をするのは目に見えている。
 彩は今頃、どうにかして姿を暗ましてるはずだから。