館内に残っていた人々は流れてくるだろうアナウンスに耳を傾けるが、逃げる事が最優先だ。
アナウンスも、館内で何が起きているかと現状が放送されると誰もが思っていただろう。
だがしかし耳に馴染む館内放送のチャイムの後に、希望は無かった。
『生に貪欲な人間共に、告ぐ』
それは館内アナウンスの女性の声音と全く異なる、変声ガスのような声。
甲高い声だが実際どうなのかなんて、分からない。
予想に反する放送に困惑を浮かべる人々は、放送を聞きつつも不安が勝り館内を出ようと非常口へ殺到した。
だがそれを見計らったように館内放送は続く。
まるで、人々の恐怖や負の感情を煽るように。
『この建物は制圧されている。
残り10分でこの建物は爆発する』
その突然の爆破予告に、当然人々は更なるパニックを起こす。
康介達の声も、段々と聞こえなくなっていく。
携帯端末の光が非常口へと向かう中、俺は人の居ない館内に進む。
もしも爆破されてしまったら、元も子もないけれど。
でも、アレが無いと絶対後悔する。
『建物の爆破はほんの序章。
私は、世界に報復する』
関係の無い沢山の人々を巻き込んで世界に報復だなんて、自分勝手すぎる。
アレが何処に落ちたか分からないがとりあえずゲームセンターの方角へ戻る俺の耳に、さらに館内放送が告げる。
『我が名は、オウノメ スバル。
世界の希望を絶望へ変える存在』
その言葉を最後に、ブツリと無理矢理途切れる館内放送。
……名前を名乗るなんて、とんだ自身過剰な爆破テロ犯だ。
捕まる事を全く考えていないのか、捕まらないと絶対の自信を持っているのかは定かではない。
だが、その爆破テロ犯に俺達のささやかな日常を壊されるのは御免だ。
だが今はそれよりも早くアレを見つけなければならない。
非常口へ殺到していた人々は何とか全員避難したようだ。
ゲームセンターに辿り着いた俺は、足元に携帯端末の光を当てた。
先程の放送から3分程経っている。
焦りもあるが辺りを見回しながら携帯端末の光を動かしていると、ようやく探していたものを見つけた。
それは俺達が座っていたベンチの下に落ちていた。
「……よかった」
涼弥に貰った雪の結晶と雫のチャームのネックレス。
それを握りしめて安堵していると、突然後ろで足音がした。
「……?」
ふと、足音がした場所へ光を向けた。
そこには幼い顔立ちの女児が居た。
小学生低学年辺りの雰囲気のその女児に、何故か拭えない違和感を感じた。
だがその違和感の正体はすぐに見つかった。
彼女が左手に持っていたモノだ。
それがとても信じられなくて、俺の背中に冷や汗が伝った。
女児が持っていたのは、長さ7cm程の銀色の刃。
「…………包丁」
そう呟いた刹那、物騒な刃物を持った女児は俺に向かって突進してきた。
アナウンスも、館内で何が起きているかと現状が放送されると誰もが思っていただろう。
だがしかし耳に馴染む館内放送のチャイムの後に、希望は無かった。
『生に貪欲な人間共に、告ぐ』
それは館内アナウンスの女性の声音と全く異なる、変声ガスのような声。
甲高い声だが実際どうなのかなんて、分からない。
予想に反する放送に困惑を浮かべる人々は、放送を聞きつつも不安が勝り館内を出ようと非常口へ殺到した。
だがそれを見計らったように館内放送は続く。
まるで、人々の恐怖や負の感情を煽るように。
『この建物は制圧されている。
残り10分でこの建物は爆発する』
その突然の爆破予告に、当然人々は更なるパニックを起こす。
康介達の声も、段々と聞こえなくなっていく。
携帯端末の光が非常口へと向かう中、俺は人の居ない館内に進む。
もしも爆破されてしまったら、元も子もないけれど。
でも、アレが無いと絶対後悔する。
『建物の爆破はほんの序章。
私は、世界に報復する』
関係の無い沢山の人々を巻き込んで世界に報復だなんて、自分勝手すぎる。
アレが何処に落ちたか分からないがとりあえずゲームセンターの方角へ戻る俺の耳に、さらに館内放送が告げる。
『我が名は、オウノメ スバル。
世界の希望を絶望へ変える存在』
その言葉を最後に、ブツリと無理矢理途切れる館内放送。
……名前を名乗るなんて、とんだ自身過剰な爆破テロ犯だ。
捕まる事を全く考えていないのか、捕まらないと絶対の自信を持っているのかは定かではない。
だが、その爆破テロ犯に俺達のささやかな日常を壊されるのは御免だ。
だが今はそれよりも早くアレを見つけなければならない。
非常口へ殺到していた人々は何とか全員避難したようだ。
ゲームセンターに辿り着いた俺は、足元に携帯端末の光を当てた。
先程の放送から3分程経っている。
焦りもあるが辺りを見回しながら携帯端末の光を動かしていると、ようやく探していたものを見つけた。
それは俺達が座っていたベンチの下に落ちていた。
「……よかった」
涼弥に貰った雪の結晶と雫のチャームのネックレス。
それを握りしめて安堵していると、突然後ろで足音がした。
「……?」
ふと、足音がした場所へ光を向けた。
そこには幼い顔立ちの女児が居た。
小学生低学年辺りの雰囲気のその女児に、何故か拭えない違和感を感じた。
だがその違和感の正体はすぐに見つかった。
彼女が左手に持っていたモノだ。
それがとても信じられなくて、俺の背中に冷や汗が伝った。
女児が持っていたのは、長さ7cm程の銀色の刃。
「…………包丁」
そう呟いた刹那、物騒な刃物を持った女児は俺に向かって突進してきた。

![[新訳]Snow Drop Trigger](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.778/img/book/genre7.png)