閉じたカーテンの隙間から 朝の柔らかい日差しが
部屋の中を照らしている
その一筋の光は大きなベッドへと向かっていた
ベッドの端に彼は座わり
すやすやと眠っている彼女をじっと見ている
その顔は優しい笑みを浮かべている

彼はスエットのズボンから小さな箱を取り出した
その箱を開けると中にはダイヤの指輪が入っていた

彼は今よりも もっと笑顔になってふっくらとした形の良い唇が
アヒル口になった 
その笑顔は悪戯をこれからしょうという 小さな少年の顔だった 

まだ眠っている彼女の白い左手を取ってしなやかに細い薬指に
2カラットはあるであろうダイヤの指輪を通した
その指を眺めて彼はとても満足そうだった

「ん…」

彼女は彼から手を引いて仰向けになっていた体を横に向けて
彼に背中を向けた 

彼は体を屈めて彼女が起きてしまったんじゃないかと息をひそめて
数分そのままじっとしていた

しばらくして静かに体を伸ばし彼女の顔を覗き込んだ
彼女はまだ夢の中にいる事を確認すると胸を撫でおろして安心した

ベッド横のテーブルの上にある目覚まし時計は7時1分前を指している
7時ジャスト
けたたましい音を立てあばれ出す

ベッドから彼女の手が伸びて時計の突起ボタンを押して
その音を止めた

彼女はまだ目を閉じたまま起きる気配がない
傍にいる彼にも気づかない

彼はクスクスと笑った

「百合(ゆり) おはよう 時間だよ」と

彼女の耳元で囁いた

そして彼は時計と同じ場所にあった
自動開閉カーテンのリモコンを取りスイッチを押した

少しずつ眩しい太陽の光が部屋いっぱいに広がっていった

太陽の光に眩しがりながら彼女は 

「お..は…よ..う… 満月(みつき)…」

上半身を起こしても 毛布に包まったままぼ~っとしている


まだベッドの上でぼ~っとしている彼女に彼は唇を近づけてKISSをした


「ほんと 手のかかる お姫様だこと」


と 彼女を毛布ごと抱きかかえた

彼女を毛布ごとお姫様抱っこをして
部屋のドアノブを器用に肘で上手く下げると
少し開いたドアを後は右足で押してあけた