「今来た所っす…」


目が腫れていた…


「場所は私が案内するよ…」


少しの沈黙の後、彼の口が動いた。


「お風呂場で…亡くなったって…」

「…うん…」

「息…してなかったそうっす…」

「……うん……」


息苦しい、だけど淡々と話すのを聞いていると、何もない世界に居るようだった。


「あ、あの人…あの人が彼氏さんだよ」

「あの人が西川さんの……」

「一度だけ、二人でお店に来たんだ」

「………」

「辛そう……」

「俺…無理っす!!!」

「あっちょっとっ!!!」


急に走り出した彼を追いかけて、勢いよく腕を掴んだ。


「辛いのは皆同じだよっ!!」

「うぅっ……西川さんっ……」

「最期のお別れは、皆一緒だよ」

「先輩っ…」

「行こう…」


今度は優しく、彼の手を握った。