苦手なら断ればいいのにと何度か言ってみたが、せっかくの厚意にそんな事は出来ないと言う。

 大人ってめんどくさいと、つくづく思った。


「食欲ない」


 お菓子から目を背け、ランシュは枕に顔を伏せた。


「じゃあ、後で食べて。甘いもの好きでしょ?」


 そう言ってフェティはベッドの縁に腰掛けた。どうあってもお菓子を持って帰る気はないらしい。


「嫌いじゃないけど……」


 ランシュが顔を上げると、フェティはお菓子を机の上に移動させ、そこにある機械部品を見つめた。