「ユイの言っていた事わかったよ。オレもこの子と一緒だったんだ。いた場所はお腹の中じゃなくて人工子宮の中だったけど。確かにあの感情、男には分からないかもしれないね。だけど、それほど強い愛情を注がれる事がとても幸せなことだっていうのは、男のオレにも分かるよ」


 どうやら母親と、いい時間を過ごしてきたようだ。
 結衣のお腹を愛おしげに見つめるランシュの横顔からも、それは窺える。

 実のところ結衣にも、確信があったわけではない。
 ロイドから聞いた話を総合して、ランシュの母は子どもが欲しかったのではないかと推測したのだ。

 以前ロイドから聞いた国王陛下のクローンは、生まれてすぐに急速成長させられたらしい。
 そういう技術は、ランシュが生まれる前からあったということだ。

 ところがランシュは赤ちゃんのまま、成長させられてはいないという。
 純粋に夫のクローンが欲しかったのなら、迷わず成長させているだろう。

 生まれてから発覚するまで三日あったのだ。
 それだけあれば少しくらい成長していてもおかしくない。

 人間だった頃のランシュを、結衣は知らない。
 今のランシュは、十八歳当時の姿そのままだという。