ユイの前を素通りし、玄関の扉に手をかけた時、背後で険しい声が響いた。


「ちょっと、そこのエロ学者たち!」
「え? オレも?」


 情けない声を漏らすランシュと共に振り返ると、両手を腰に当てて仁王立ちしたユイが、こちらを睨んでいた。

 眉をつり上げて口元に笑みを浮かべ、低い声で静かにユイが問いかける。


「どこへ行くつもり?」


 ロイドは瞬きも忘れて、ランシュと互いに身を寄せ合い、二人して硬直した。

 背筋どころか、全身が凍り付いたような気がした。




(完)



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あとがきという名の余談は次ページ。