『タケイチ。オレさ、とうとうやったんだぜ。千代と』
中二の放課後、教室で、宏樹からそんな告白を受けてしまってからというもの、妙に僕は、千代の唇や時々見せるチラリズムにソワソワしてしまっている。
あの頃からだ、僕達が、いや、僕が勝手に千代との距離を図るようになったのは。
そもそも、だ。千代の膨らみ、千代のありとあらゆる柔らかい所は、全て僕のものになるはずだったのに。
あああああ。ほら、ちょっと千代の事を考えたらすぐこれだ。もうすぐ本鈴が鳴る。授業が始まってしまうじゃないか。
僕はさりげなく、ワイシャツの袖に仕掛けておいたイヤホンを耳に当てる。僕の燃えたぎるパッションは、常に音楽によって緩和されるのだ。
ドラムのリズムに僕の血液は反応する。ベースの響きは鼓動を安定させるし、ギターの音色は呼吸を調える。
うん、いいね。ジャパニーズロックンロール。この下らない歌詞が何ともいいね。意味がありそでなさそな、深そで浅そな、無茶な繰り返しがいいね。

