今日も会うことが出来て、もしまだ泣いているようならば抱き締めてやろうと思っていた。

それは確かに頭で思っていたことではあるけれども、実際はきっと勝手に手が延びて彼女を包み込もうとするんだと思う。


……なんて、そんな事は本人の前では言わないけどさ。


俺は、面倒見が無駄にいいという性格が拍車をかけてかとても彼女が気になっていた。


栗色のロングストレートな髪の毛は海から流れてくる潮くさい風になびいてととも綺麗だと思ったし、何気に長い睫毛もとても彼女の美人さを際出させていると思う。

……って。

昨日会ったときは密かにそう思ったものだが、生憎と今はそんなことを思っている余裕は微塵もなかった。


「無防備過ぎんだろ、おい……」


俺の隣にころん、と寝転がって目を閉じる彼女の姿。

辺りは暗いとはいえ、さすがにそれに慣れた目ならば彼女がどんな格好でここに来ているのか、くらいはわかった。


「なんで……なんで、」


思わず叫びそうになって、ぐっと握りこぶしを握る。


寝間着できてんだよ!!

畜生、そんな格好で横になるだと?

俺は男とみられていないのか。

そう考えると無性にムカついて、と言うよりは虚しくなってきて。

あきれたように笑いながら、俺は少しだけ彼女に近づいた。