いつもと変わらない大学。


回りは学食に向かう生徒で溢れるなか、私は友人と向かい合って話し合っていた。

……と、言うよりは、友人に私の胸の内を一方的にさらけ出しているような状況だろうか。


友人は、私の話がすべて終わるのを待てば、とても悲しそうな、まるで割れてしまったダイヤでも見るような目で私を見てきた。

その目が今にも泣きそうに歪められれば、私はふ、と緩く笑う。


「大丈夫、だってば。もう、割と落ち着いてる」


「本当に?」


「うん」


あの夜、思う存分泣いた私は隣にいた男と一言二言ほど言葉を交わしてすぐに帰った。


『家は、近いのかい』


『うん』


『それじゃ、送る必要はないかな。俺はもう少しここにいることにするよ』


『………、』


『君は女の子なんだからもうお帰りなさい』


『………うん、わかった』


不思議なもので、帰ってから涙が溢れる事はなかった。

そしてそれは、友人の泣き出しそうな顔をみてもそう。


「本当だってば」


「だってアンタは、なんでも溜め込む癖があるから……っ」


そう言いながら涙を流して私に抱きついてくる友人を抱き止める。


あぁ、私は良い友人をもったんだな、って思った。

私なんかの為に涙を流してくれて、そして私の事を良くわかってくれてる。