渇いた大地に足を一歩付いたところで貴代は、 今出てきたばかりのマンションを振り返り、見上げていた。 今でも信じられない。 それでも現実に千絵は存在していた。 家で待っている千絵はいったい? 背中に悪寒が走ったが‥‥‥ 脳裏を生霊が過ぎる。 まさか? 千絵に確かめてみなきゃいけない。 本物が存在している以上貴代の知っている千絵は、きっと‥‥‥