「…待てよ」
「は?…痛いんだけど」
「友梨」
「なに?ていうか、手、痛いんだけど。なに怒ってるの」
背中を向けて、もう見えなくなった凛にぐいっと腕を引っ張られる。
力が込められているからか、痛い。
「今の、お前本気で言ってんの」
「…なにが」
「罰ゲームっていうの」
「罰ゲームじゃないならなんなの」
だったらなに?罰ゲームじゃないにしろ似非に変わりないだろうに。
なにをそこまで怒る必要があるんだろう。
そう思ったけど郁也はふざける様子もなく、あたしを真っ直ぐに見つめて言う。
「罰ゲームじゃねえよ」
「…凛、痛いってば」
「冗談じゃない」
「、」
だったら、なんなの。
そう聞きたいのに喉に突っ掛かって言葉にならない。
じゃあ。冗談じゃないのなら。
「…本気で言ってる?」
半信半疑。正に今のあたしはその状態だった。
まさか。…だけど完全に否定は出来ない。
「本気」
郁也が言った。

