「…気になったから」
「俺が付き合ってって言ったら友梨が肯定したからじゃねえの」
「…なんであたしにそんなこと言ったの」
さっきから何度も言ってる。何度も自分に問い掛けてる。
【なんであたしなの?】
他人から見ればあたしの性格なんてつまらないものでしかないだろう。
なんの変哲もなくて、面白みがまるで無い。
そんなに周りと同じように大きくは笑えないし、泣くことも殆どないし、怒ることも、正直悩むことだってあまりない。
そんなあたしなのに。
なんで、なんで凛はあたしにそんなことを言ったの。
「理由は普通に考えて一つしかないだろ」
「…」
ソファがぎしりと唸る。
それが凛があたしに近付いたからだと、すこし遅れてから気付く。
俯きがちにしていた視線を、隣にいる凛の方へと向けた。
思っていた以上に距離が近くて、すこし驚く。
視界に入る凛のせいで、あの綺麗に輝く月は見えない。
視界に入る凛のお陰で、あの恐ろしく笑う月は見えない。
凛が、あたしに言う。
「友梨のこと好きじゃなかったら言わないだろ」

