「…そのうち、美容院行くよ」
「ん?なに」
「…なんでもない」
ドライヤーの音が二人の会話の邪魔をする。
…別に構わないけど。相変わらず優しい手つきであたしの髪をなでる凛。
モテる人間って、きっとこういうタイプじゃないかと思う。
容姿は申し分なくて性格もそれなりに真っ直ぐな凛は、人間としても異性としても人から好かれそうだ。そんな雰囲気。
自分とは正直に言って比べものにもならない。比べようとしたことはないけど。
なんで人間は、こんなにも不平等に生まれてくるのだろう。そんなこと今まで幾度も考えてきた。
だけど結局は周りの言う【神様】という存在はよくわからない、平等意識がズレた存在なんだと思って、そこで終わった。
まあ今更『可愛くなりたい』だとか『あの子のようになりたい』だなんて思うことはない。
柄にもないことなんて、考えただけで無駄になってしまうだけだから。

