そして学校に着いてすぐ、教室に入ると護るの周りにみんな集まってきた。




「護、平気か?」




「事故にあったんだってね」




「心配したぞ!」




みんな嬉しそうに護を囲んで笑ってる。




けど護はどうすればいいのかわからなくて、黙っていた。




「護?」




クラスの岸田くんが護の肩を掴んで「どうした?」と聞く。



それに護は、うつ向いて「ごめん」と だけ言った。



岸田くんも、クラスのみんなも、「何が?」といった感じでざわつき始めた。




やっぱり、みんなに説明してから来させるべきだったかも…。



一応先生には言ってあるらしいが、すぐ戻るだろうと思い、クラスには伝えないようにと言ったらしい。




「えっと…みんな、聞いて!」




声を上げた私に、みんな注目する。




「あの…ね、護…記憶喪失なの…」




シ―ンっと静かになる。




「え、何言ってんの?
花蓮」




「だから…記憶喪失」




「護が記憶喪失?」



「何かの冗談でしょ?」




みんな記憶喪失と聞いてざわざわとしだした。



「うそ、そんなこと1度も聞いてないよ!?」




「ごめん、すぐ戻ると思って言わなかった…」



「そんな…」




「おい護、俺のことわかるか!?
岸田貴志!」




「…ごめん、わからない」



「じゃぁ私のことは!?
笹岡篤美!」




「ごめん…」




みんなそれぞれ名前を言って言ったが、やっぱり誰一人覚えてなかった。




「本当に俺たちのこと覚えてないんだな…」




「ごめん…」




みんな落ち込んで、空気が暗くなる。




そんな時、HRが始まるチャイム鳴った。



みんなそれぞれ自分の席につき始める。




「護、お前は何も悪くないから。
早く記憶戻るといいな…」



岸田くんもそう言って、寂しそうに席に着いていった。




岸田くんは護と一番仲が良かった。




それなのに、忘れられて悲しいのだろう。




私のように…。