あれから2週間、護は徐々に回復していった。












「護〜。
調子どう?」




病室の扉を開けながら中へ入る。




「花蓮、来てくれたんだな」




「うん」




微笑んで近くにあったイスに座る。




「いい感じだ。
先生もこの調子でいけば後3週間で退院日だろうって」




「そっか」




事故に合った後の護の体は包帯だらけだったけど、今は四ヶ所ぐらいしかない。



事故でついた傷痕も、残らないだろうとのことだ。




「あぁ〜、早く外出てぇ〜な〜」




「ダメだよ。
安静にしとかないといけないんだから」




「…わかってるって」




苦い顔をして笑う護を見て、私は胸が痛くなった。




私も早く護と外歩きたいよ…。




「…花蓮」




視線を下に向けていると、護が話しかけてきた。




「ん、何?」




「あのさ…。
あの返事していいか?」




「あの返事?」




「ほら、俺が事故に合って初めて目を覚ました時に花蓮が言ってくれた言葉だよ」




あ…あれですか…。




え、今その返事するの?




ちょ、ちょっと待って、私まだ心の準備が…!




「花蓮…。
俺は…お前が好きだ」




「……えっ」




ドクドクと鼓動が早くなる。




それ…ホント?




「俺、こうやって毎日のように欠かさず見舞いに来てくれる花蓮が好きだ。
初めて事故にあった時も、毎日来てくれたよな。
それから…花蓮の笑顔が大好きだ」




「護…」




ヤバい、嬉しい。




けど、恥ずかしい…。




「あれ、花蓮。
顔が赤いぞ?」




「だ、誰のせいよ…」




「…ぷはっ!
花蓮、昔から照れるとすぐ赤くなるよな」




「余計なおせわで……!
え、昔って…護、記憶が…」




「…あぁ、戻ったみたいだ」




ニヤっとして笑う護。




「うそっ。
いつから!?」




「二度目の事故があった時」




…ホントに、記憶が戻ったの?




「昔のこと、ちゃんと覚えてる!?」




「あぁ。
お前が昔1人で木登りして、降りられなくなったこともちゃんと覚えてるぞ」




「そ、そんなことは覚えてなくていい!」




恥ずかしくて顔が赤くなる。




けど、ちゃんと記憶は当ってる。




てことはホントに…戻って来たんだ!




「も〜、そうならそうと早く言ってよ〜」




「わりぃわりぃ」




ハハハと笑顔で笑っている護。




まぁ、記憶が戻ったのなら、よしとしますか…。




「花蓮」




「わっ!」




いきなり腕を引っ張られ、抱きしめられる。




「ま、護!?」




「ごめんな…。
今度は何があろうとも、絶対お前のこと、忘れないから…。
俺が学校行けるようになったら、また前見たいに一緒に手繋いで帰ろうな。
それから今までの分、一杯デートしよう。
…大好きだ」




抱きしめる腕に力が強まる。




私も護を強く抱きしめた。



「私も…護が大好きだよ。
…今度忘れたら、許さないから」




「うわっ、怖〜」




護の言葉に、どちらともなく、笑い出した。








またあなたが忘れた時は、私が思い出してあげる。




あなたが私のことを忘れていたとしても、私はあなたのことをいつまでも愛してます。





「花蓮…」




「護…」




私たちは、ゆっくりと唇を重ねた。
















END