「ん……」
あれ…私…。
気づいたら寝ていた。
やだな、涙なんか流して…。
涙を拭おうと手を上げた時、私の手じゃない手が涙を拭った。
「え……」
その手は…護から伸びていた。
「護…?」
眠っているはずの護を見ると、護は目を開けて優しく笑っていた。
「……!
護、護!」
「……でかい声、出すなよ…花蓮……」
キセキだ。
目を覚まさない可能性が大きかった護が今、こうして意識を取り戻してる。
私は嬉しくて嬉しくて、ボロボロと泣いた。
「せ…せ…呼んでくる…」
護から離れて行こうとすると、ガッと腕を握られた。
「…行く…な…」
精一杯絞ったような声だった。
「…うん」
それを素直に受け止める。
「…護、しんどいよね?
しゃべらなくていいから私の話聞いて…」
護の手を取って、私はまたイスに座り直した。
「護、ごめん。
私のせいでこんな…。
本当にごめんなさい…。
それから、ありがとう。
あのね、私護の記憶が戻るまで待つつもりだったんだけど…でもやっぱりダメだった。
…私、護のことが好き。
大好き。
幼なじみとかじゃなく、男の人として好き」
一気に言ってしまったけど…、ちゃんと伝わっただろうか…?
「えっと…」
恥ずかしくなって繋いでいた手を放す。
けど、すぐに護がまた繋いできた。
「護…!?」
ビックリして護の顔を見ると、護は嬉しそうに目を細めて笑っていた。
ドクンッと心臓が波打つ。
すると、後ろから扉が引かれる音がした。
「花蓮、護くんの様子は…」
「お母さん!」
「…護が、目を覚ましてる…?」
「キセキだ…」
病室に入ってきたお母さんたちは、護の意識が戻ったことを確認すると、涙を流しながら先生を読んで喜んでいた。
「実にキセキですね。
あれほど危険な状態だったのに…」
お母さんたちは、先生から護が意識を取り戻さないことを覚悟しておいてほしいと言われたらしい。
けど、今こうやってゆっくりだけどちゃんと受け答えもできている。
「本当に息子さんの生命力はすばらしいです。
事故に合った時点で即死でもいいはずの状態で、意識まで取り戻せるとは…。
本当に驚きで一杯です」
そう言う先生も、嬉しそうに喜んでいた。