Liars' clovers

 突然笑いだしたぼくを見て、エミルが頬を膨らませる。

 世間知らずで悪かったわね、とぼやく彼女にまた笑った。


 結局ぼくらは互いに嘘をついていたのだ。

 自分のためであり、相手のためでもある嘘。

 いびつで無意味で、けれど重要な嘘だった。



 ぼくは笑いをおさめて、むくれるエミルに手を差し伸べた。

「おいでよ。今度はちゃんと丘に行こう。ボール遊びも花かざりの作り方も、全部教えてあげる」

 彼女はぼくの手をじっと見つめてから、チラリと部屋のドアに視線をよこす。

 母親のことを気にしているのだろう。



「……じゃあ、今度はわたしも一緒に怒られてあげるわ」

 彼女はいたずらっぽく笑ってぼくの手を握り返した。




fin.