恋の欠片

「じゃあ、席に戻るね。チャイム鳴りそうだし」

「うん」

そういって
加奈は
私の傍から離れていった


「席に座れよーーー」

先生が
教室のドアを開けながら
叫ぶ

その声に
クラスの人たちは
席に座りだす

「今日は転校生を紹介する」

そういって
教室に入ってきた
一人の男の子は
独特な雰囲気があった
クラスの男子たちとは何か違う
雰囲気だった

それと一緒に
どこかで
会った気がした

「自己紹介しろ」

そういわれて
男の子は
喋りだした

その瞬間
分かった

「菊川祐(きくがわ ゆう)です。よろしく」

少し
大人びた
声だったけど
あの声だ


5年前

あの川原で
聞いた
歌声の
本人だ

この人が
現れるまで
すっかり
忘れていた

でも
それと一緒に
恋心が芽生えだしていた事を
今の私は気づかなかった