夜干しの洗濯物の
揺れる隙間から
見える夜空

胸が揺さぶられる

潰れそうな
胸の内に響く
イヤホンから流れ込む音楽

その叫びに
魂の痛いところがつつかれて
零れる涙に泣きたいことに気づく


私はこれでいいのか

本当の私は

これを望んでいるのか


独りではないのに
独りだと思うこの夜に
口から出るのは
深い溜め息ばかり


捨てることもできない
壊すこともできない
「私はここにいる」と
叫ぶこともできない

理性が苦しめる
情が歩みを止める


飛び出すことが出来ない
飛び出した後を考える
飛び出す勇気がない

理性が苦しめる
情が縛り付ける


夢をみるのは罪
尊重を願うのは罪
解放を求めるのは罪

理性が苦しめる
情に追い詰められる


このまま死んでゆく夢

突き出す手は空を切る

伸ばす手は空を掴む



理性も情も捨ててしまえたら

そんなできもしないこと



作り上げてきた
「私だけのものではない今」を
壊すことが怖い
傷つけることが怖い


でも飛び出したい

その矛盾が苦しい


自己を優先できない私が
自己の夢を見続ける罪
その罪に与えられた罰は苦悩



この苦悩の果てに
私の心、その魂はどこに向かう



雲が月を隠す夜空に

溜め息が消えてゆく