机の上に置いてあった手帳を見ながら、私は今日のスケジュールの確認をする。



「9時にsmashの撮り、16時からareaの取材……か。」



私の職業は芸能事務所のマネージャー兼社長秘書。……って言っても社長は父で、担当は兄という完全なる家族経営の一員なんだけれども。



カリスマモデルと呼ばれ、いろんな雑誌に引っ張りだこの兄。

そんな彼には実は秘密があって……

彼の本職は実は弁護士なのだ。




簡単に言ってしまうと、私の兄はモデルは副業で弁護士業務が休みの時、たま~~にモデルとして撮影をするという、完全に舐めきった人生を送っているお人なのです。



そんなこんなでスケジュールの調整やら何やらは身内の方が何かと便利だし、兄も気が楽だということで私は父の芸能事務所に就職。



今日は兄の久しぶりのお仕事の日なんだけど、お天気は生憎の雨。



「やだなぁ……雨……。」



雨は嫌でも私にあの日を思い出させる。





それでも少しは傷も薄れて
忘れられそうになっていたのに
彼に出会ってしまったら、どうしたってあの日を強く思い出す。




消えない傷に
消えない記憶


雨のなかで奪われた
あの悲しい一夜




雨が降るたびに
私はあの日を思い出す。