「俺、飯塚としてみたいかも」 え…… 「キスしよ?」 返事をする間もなく、和田谷はあたしの頭に手を添えて、キスをした――― ゆっくり、ゆっくり、近づいてきた顔。 スローモーションかと思った。 ちゅ、と音を立てて離れる唇。 「……ばかっ!!」 あたしはカバンを持って駆け出した。 ファーストキスはどんな味? ずうっと思い描いていたレモン味。 そんなんじゃなくて現実は、甘くて、ほんの少し切なさを持っているような味だった。 和田谷とキス、しちゃったよ……! どうしよ、どうしよ……