その後、あたしは1人とぼとぼと歩き出した。


瞼が開かない。

泣きすぎて目が腫れたんだ。


「ただいまー」


「おかえり」



リビングには亜木となぜか勇介がいた。



「姉ちゃん、目赤いよ」


「そう?…冷やしてくる」



洗面所に駆け込むあたし。


「……はぁ」



さっきの和田谷の言葉を思い出す。


『飯塚とは気が合わないかもな』


『キスすることに意味があるって思ってる?』


ズキズキと胸に響く。


「奈津?」


「…勇介ぇ」


涙が止まらない。



悲しくて泣いてるんじゃない。

寂しくて泣いてるんじゃない。


……悔しいんだ。

和田谷に、あんなこと言われて。