#9


”姉さん、あのさ・・・・。

匠の家庭教師の片田さんだけど、実は俺の同級生だったんだ。

今度、クラス会開くことになったから、彼女の連絡先教えてくんない?”



クラス会だなんて嘘まで付き、思い切って姉の咲子に電話をした


咲子は一瞬、息を呑んだように黙ったが、静かにこう言った



”・・・・そう、ならお願いがあるの、、、”



俺は、そのお願いがなんなのか深く考える由もなく、姉と会う約束をしたーーーーーーーーー




‐cafe Kurenai‐



鳥のさえずりや、川のせせらぎの音が流れ、自然素材をふんだんに使った店内は、様々な観葉植物がひしめき合う

それぞれの葉から、淡いグリーンの香りが漂う

ここは俺が気に入っているカフェ、Kurenai


店主の高徳政宗(コウトク マサムネ)は、大学時代の同級生でもあり、無二の親友でもある


カララララン・・・・

「いらっしゃいま・・・、チッ、なんだ、柚希か」


おい、今舌打ちしなかったか?

しかも一瞬、政宗の周りに少女漫画に描かれるような無数のキラキラが見えたのは、気のせいか?

柚希は思わず目を擦る



「なんだとは失礼だな。しかも仮にも客に舌打ちすんなよ。

てか、お前、営業の顔と素の顔全然違うのな?今一瞬、お前が煌めいて見えたのは気のせいか?」



「馬鹿か、お前に営業スマイルしてなんの得があるんだ。俺はオンとオフをきっちりしたいだけだ」


「おい、オンとオフってそういうことなのか??」


すかさず突っ込んだ柚希に、政宗は返す気配がない