#2

普段はいくら家庭教師だとはいえ、外でふたりで会うことは極力避けていた

自分たち以外に、二人の仲を認めさせたくなかった

外野は、後からの別れ話に余計な力を持つときがあるから



でも、今日はどうしても一緒に参考書を選んで欲しいと言う

匠に圧されて、仕方なしにふたりで書店に来てしまった

なにせ今日はわたしの誕生日だった


「恋人同士だもの、そんな日ぐらいは」と、匠はいつになく強気だった

それに匠の計算なのか、参考書を選んでほしと母親の前でも言うものだから

「先生、ぜひお願いします」と母親も味方につけた

本当に息子には甘い家庭だ


わたしはきっと心なしか顔を引きつらせていたが、あまりに拒否するのも不自然で、匠の思惑通りふたりで出かけるはめになった