匠は自分の胸の前で繋がれた李生の手をほどいて振り向き、正面から李生を抱きしめた


「・・・・ホントに、ここでキスしちゃうぞ」


正面からの鼓動の方が何倍も早く、何倍も大きかった

李生は、うん、と頷いただけだった



もうなんだか、わからないの

あなたが、柚希じゃないとわかっているのに

あなたにすがるしかすべのないわたしは

あの頃となにも変わっていない

こんなに華奢で頼りないあなたのからだに



匠は李生の顔を覗き込むようにして、そっと唇を重ねた

李生も匠のキスを受け入れた

匠は重ねた唇を少し離してから、またすぐに今度は深く重ねる

匠の唇から、リオへの想いが溢れているのが、受け入れている李生にはよくわかる


「・・・・リオ、スキ。メチャクチャ、スキ」


キスの合間に何度も小さな声で愛を語る

それには答えずに、李生はお返しに匠の唇を塞ぐ

誰かに見られているかもしれないということが

さらに二人を高揚させる