‐Flower Grden of EDN‐

「あれ、先生じゃん。どうしたの、珍しいねこんなとこで」



不意に後ろから声がした


匠・・・・


一瞬どきりとしたが、慌てないようにと瞬時に思った



「匠じゃない、今帰り?このあいだの参考書、もっと違ったのが良かったかな~って、またこの間の書店に来た帰りだよ」


こうもまあ、すぐに嘘が口から出てくるものだと、自分自身感心してしまう

柚希への言葉は何度もシュミレーションして繰り返しても、実際はきっとつかえるだろうと思うのに



「へぇ、そうなんだ。先生、真面目だね。でもそんなとこが好きかも」



こんな嘘を信用してくれる匠に、少しだけ胸がチクリとした

だけど、そんな痛みを表情に出してはいけない

けして、柚希に会えなかった悲しさを、匠に気づかれてはいけない



なのに・・・・このまま慣れきった匠の温もりに甘えてしまいたい、そんな気分なのは確かだった