#4


それからわたしは、寝ても覚めても胸が高鳴り、おかしな感覚の日々を送った

なかなか眠付ず、眠ったかと思うと、また覚めて、その度にドキドキとする心臓


朝は寝不足で、宙に浮いたような気持ち悪さが胸を襲う

そして起きて一番に見るのは、あの日、匠にもらったブルーローズの花束だった


このローズの一本、一本に彼が触れたかと思うと、

知らなかったとはいえ、わたしの誕生日のために彼が造ったかと思うと、

このローズが愛しくて堪らなかった

その度に、彼、柚希に会いたい気持ちだけは、確実に膨れ上がってくるのがわかった



しだいに萎れていく花を見ていると、余計彼に会いたくてたまらない

この花を萎れさせたくないと、無理な相談でもしてみようか、彼の店に行く口実ばかりを探している



それでもなかなか行動に移せないのは、

一本だけ別の花瓶に一輪挿しにした白いバラが、まるでわたしの悪巧みを監視しているようで堪らなかった


匠に対する後ろめたさと、彼に会いたい気持ちで日々を彷徨う