「ふふ、そうでもないよ。匠くんはとてもいい子だから」



思わず笑ってしまった

でも、なんだか悲しい


わたしはこんなにも柚希くんを追いかけて

その甥っ子にまで少なからず惹かれて

いつまでもあの頃のままなのに、柚希くんの隣にはいつもいろんな女性(ひと)がついては離れて・・・・

さっきの匠の冗談みたいな話をいつまでも気にかけている



「柚くんのバーカ。ほら、先生は俺のことが大好きなんだよ~だ!」


匠が負けず嫌いみたいな言い方をするから

ますます笑えるじゃない


「ふふ、そうだね。先生のために、こうして素敵なプレゼントも用意してくれる生徒なんてそうはいないわ。

匠くんは特別かも」


なんだろ、わたしも負けず嫌いみたい


匠との関係を知られたくないはずなのに

その関係をほのめかすような言い方をしてしまう

口が勝手に滑ってく



それで少しでも彼が気にして表情を変えてくれたら

きっとわたしにも分がある、そんな浅はかな気持ち

わたしは彼のどんな些細な表情も見逃さない