匠は携帯電話を取り出しだし、何ともなしに見つめた
友達はそれなりに居る
だけど受験を控えたこんな時期に、助けてくれるような友達は思いつかない
"孤 独"
その言葉が、胸を突き刺す
匠は、携帯電話を思い切り振りあげて、路地に叩き付けようと腕を上げた
こんなものがあっても、李生から連絡がくるはずがない
今まで何度かけても、折り返しかかてくることはなかったのだから
「・・・っ」
力任せに携帯電話を投げ捨てようとしたとき、一瞬匠の胸に思い当たるものがあった
勢いを失った手から携帯電話は、軽い音を立てて路地に転がっただけだった
・・・・いた
ひとりだけ、いた
友達なのか、なんなのか、よくわからないのが
ひとり、いた
匠は、携帯電話を拾い上げると、その思い当たる人物の番号を検索し耳にあてた
電話の向こうの主は、待っていたかのように3コールもすると電話に出た
「・・・・今から、会えない?
・・・そっか、じゃ、また後で電話くんない?待ってるから」
匠は、すぐにその人物と会えなかった
また後で連絡をくれると約束したが、胸が苦しかった
ひとりだけ、いたと思ったのに・・・
誰も、俺を、・・・・必要としていない
そんな思いが過る
俺は、・・・・そんなに必要のない人間、・・・なのか
急に目頭が熱くなる
柚希の前で思わず泣いてしまった涙とはまた違った涙が、溢れそうになる
これじゃまるで、迷子になった幼児じゃないか、、、
匠はその涙が零れる前に、うずくまっていたからだを起こし立ち上がった
馬鹿げている、こんなところで泣くなんて
自分がどんなに無力なのか・・・・認めたことになってしまう


