会いに行こうとすれば行ける距離に、李生が居るのに
俺は李生が会いに来てくれることを、未だに望んでいる
そうすることでしか、もう李生の愛情を計ることはできない
だってそうだろ
李生は、俺と一緒に居ながらもずっと柚くんを想っていたって言うんだから
それが本当なら、
俺は怖いんだ
李生に会いたい、でも、会って真実を知るのも
俺と李生が本当に別れてしまうのも
怖いんだ
白黒はっきりなんてつけたくない
だってそうだろ
俺たち、あんなに愛し合っていたんだから
だってそうだろ
李生はずっと俺だけのものだったんだから
李生は、李生は、あんなに俺を・・・・・
”一度も好きだと言ったことがない”
「あああああああああっ!!!」
言葉にならない叫び声を上げて、匠は人ごみの中うずくまった
その声にそばを通り抜けた人は、何気に振り向いたがすぐに歩いて去った
後に通った人は、邪魔だとばかりに怪訝な顔をして過ぎ去った
誰も、声など掛けてはくれない
この世の中に溢れる若者のひとりが、突然叫びうずくまったからと言って、夜の繁華街は彼を救ってはくれないのだ
むしろ、面倒はご免だと、去ったもの勝ちなのだ


