「俺もお前に頼まれていたから、姉貴の場所教えたけど、今更姉貴に会ってどうしたいの?」
「俺は・・・」
匠は口ごもったまましばらく先を言いそうもない
東吾は少し溜息交じりに話し始めた
「いやさ、いいんだ。会いたければ、会えばいい。
でもさ、それってもちろん、終わりにするためだよな?」
”終わり”
東吾の言葉が匠の胸に突き刺さった
だが、匠に返す言葉はまだない
「俺、前に言ったよな?
今は目の前のこと、受験に集中しろって。
お前が姉貴のこと本気で好きだったのは知ってる。
でも、一旦リセットして、受験が終わってからまた考えてもいいと思う。
とにかく一度終わりにしろ。
俺はお前が大事な時期に、あんな姉貴のために立ち止ってんのが許せねぇんだよ。
わかるだろ?お前だって子供じゃないんだから」
”一度、終わり”?
俺は”子供じゃない”?
一度終わりにして、それからまた始められるのか?
俺が子供じゃないなら、なんで李生ひとり守れなかったんだ
俺が子供じゃなきゃ、なんなんだ
周りの大人と同じ?
じゃあ、なんで俺は俺一人で、自由に生きられないんだ
なんで、周りの大人は俺と李生のことを拒むんだ
・・・・東吾先輩も、俺の母親と一緒だ