東吾が、店を出て行って店内はまた静けさを取り戻した
そこで、最初にため息をついたのは政宗だった
「ごっ、ごめんなさい!!弟がすごく失礼なこと言ってしまって、ホント・・・」
李生は申し訳なさそうに謝った
「いや、別に弟さんのことをどうとか、俺は全く思っていない。
俺も少し、弟さんを怒らせるような物言いをしてしまったからな。
ただ、どっかの誰かさんと、ちょっと似ているなぁと思って」
政宗は少し下を向いてカウンターを拭いていたが、ニッと口の端が上がった気がする
「・・・誰か、さん?」
「そ、いつも騒がしい誰かさんと」
「もしかして、柚希くんのこと?」
「そ、そのもしかして」
「・・・そっかなぁ。弟はすっごく子供ぽくて、ただいつも正直というか、白黒ハッキリさせたいタイプっていうか、、、、」
「クスッ、”子供っぽい”まさしく、あいつそのものだな」
また政宗が笑った
「柚希くんは子供っぽいかなぁ・・・」
李生だけが腑に落ちない面持ちで考えている
「クスッ、まあいいさ。それより、荷物をまとめて。
やっぱり、李生はここにいてはいけない」
「え・・・」
「同じ子供っぽいでも、やっぱり俺はあいつを信用しているから」