‐cafe Kurenai
「で?」
政宗は、姉を迎えに来たという東吾にそう切り返した
「ぇ、あの・・・」
東吾は迎えに来た以外に何も言葉を用意していなかった
柚希の時と同じように、礼も述べた
なのに、”で?”とはどういう切り返しなのか
「えっと・・・なので、姉を連れて帰りたいということなんですが、、」
東吾はさっきと同じような説明をしていると感じているが、それ以外言葉が出てこなかった
「いや、それはさっき聞いた」
「じゃ、えっと、、、」
この無駄に容姿端麗な人物は、一体何を言いたいのか、東吾にはさっぱりわからなかった
李生は、ふたりのやり取りを不安げに見つめ、自分が言葉を切り出すタイミングを見計らっていた
東吾に心配や迷惑を掛けて、こうやって自分は雲隠れしていたのだから、そろそろ帰らなければいけないのはわかっていた
ふたりが一瞬沈黙になったのを逃さず、李生は切り出した
「あ、あの!政宗さん、わたし、帰ります。本当はもういい加減、帰らなきゃいけなかったんです。逃げてちゃダメだって・・・」
・・・そう、逃げてちゃ、何も、、、


