「ああ、そうでしたか。いえ、そういうことはよくある事ですので、気になさらないでください。あの、今日は贈り物かなにかの花ですか?」


柚希はさほど気にせずに接客に戻っている

その態度に、少し胸がちくりとしたが表情に出ていないか気にしながら東吾は言った


「あの、俺、李生の片田李生の弟です。姉がお世話になっているみたいで・・・本当にすみません!!」


深く頭を下げた

頭を下げたが、柚希が動揺したのは空気の流れで何となく感じ取れた



「・・・あっ、俺こそ、すみません!!電話で簡単に話したきりで・・・」


頭を上げると、柚希は動揺仕切って困ったという顔をしていた

だが、今日は姉貴を連れて帰ると決めてここに来た

どういうつもりで姉貴をかくまってくれているのか知らないが、この際それはどうでもいい

東吾は言った



「あの、今まで本当にお世話になりました。今日、姉を連れて帰ります。姉は今どちらに居ますか?柚希さんの家ですか?教えてくれたら、俺行きますんで」



「・・・あ、いや、それが・・・・」


柚希は気まずくなりながらも、東吾に今は政宗のカフェで働き、そこで寝泊りしていることを伝えた

なぜなら東吾と最初に話したとき、柚希は言ったのだ


”俺が責任を持って預かりますから、心配しないでください”と



なのに、東吾は一瞬ホッとしたように見えたのは見間違いだったろうか・・・・