ピンポーン

入口自動ドアのチャイムが鳴る


「あの・・・」


「はい、いらっしゃいませ!」



ジーンズにTシャツ、黒のエプロンといったラフな格好の店員が振り向いた

柚希である

そう、ここは柚希の経営するフラワーショップ”Flower Grden of EDN”


柚希は、東吾のことを知らない

いや、電話で話したことはあるが、直接会うのはこれが初めてだ

だから今、自分に声を掛けた東吾も一客人だと思っている



だが、東吾自身は、その一客人に向けられた爽やかとも言える笑顔に一瞬くらりとしてしまった



「ぁ、あの・・・、俺のこと覚えていませんか?」


突然そんなことを口走ってしまった

すぐに、赤面したその顔と口を塞いだが、ちらりと見た柚希の顔は困惑そのものだった


ああ、、、やっぱり・・・・


東吾は口元に持っていった右手をギュッと結んで、誤魔化すように咳払いをした



「あ、いえ、今のはその、俺の勘違いでした。知人によく似てらしたので、、、、突然、すみません」


そう付け足した