#17



 李生の弟、東吾はこの季節にしては少々薄着で足早に道を進んでいた


ずっと大学の研究室に篭りっぱなしで、外がこんなに寒いとは予想外だった

いや、季節からして寒くないはずがないのだが、それよりも急いでたどり着きたい場所があった



 ・・・・・あの日から、姉貴は帰ってこない、、、、



『・・・東吾、ごめん、しばらく・・・帰れない、かも』


そんな電話、正確には留守電を残して姉貴は帰って来なくなった

その代わりに、直後から匠が頻繁に連絡を寄越したが、それも今ではたまにメールで”李生さん帰ってきました?”と一言送ってくるだけになった


俺も俺で、匠に嘘のような本当のよ
うな、誤魔化しでしか返事をしなかったのも悪かったのかもしれない



・・・だけど、


いい加減にしろ!!




何があったかは匠から聞いたが、そもそも姉貴が蒔いた種がこうなっただけで

その姉貴が、蒔いた張本人がいつまでも雲隠れしてていいはずがない!


我が姉ながら、本当に世話がやけると思う


だから、今日はどうしても姉貴を連れて帰ろうと思うんだ