・・・

「パパは、何度言っても聖をNo.1にしてくれない」

先程まで、横を向いて拗ねていた瑠璃は、今は聖の懐のすとんと収まっている

時より瑠璃の頭を優しくなでる聖


「ははは、それはいくら可愛い我が子でも聞けない頼みだよ。俺と、彼の差は相当なものだからね。どんなズルしたって無理さ。それに俺自身、彼を追い越してやろうなんて思ってないしね」


「どうしてよ!!No.1になれて嬉しくないホストはいないはずよ!聖は欲が無さすぎ!」


瑠璃は不満げに聖を見上げた

聖が入店して以来、瑠璃は聖を慕っていた
その感情は、恋愛というよりも兄妹愛と言ったほうがいいだろう
一人娘の瑠璃は、聖を兄のように思っていた


「別に俺に欲がないわけじゃないよ?ただ、それがこのクラブのNo.1になることじゃないってことさ」


「え・・・、じゃ、聖が欲しいものってなに?わたしがパパに頼んであげようか?」


瑠璃は真剣に言った

聖が欲しいものってなんだろう、、、、


「ははは、大丈夫、瑠璃。俺は、自分でなんとかするから。瑠璃は自分のことだけ考えてな。そうだ、いつか言ってた好きな人とはどうなった?上手くいきそうか?」


瑠璃は、急に自分のことに話が変わって少し不満だったが、今日聖に会いに来たのも”好きな人”と上手くいかないからだった


好きな人、


・・・匠


瑠璃は、聖を見上げていた顔を下げてまたカチカチと親指の爪を噛みだした