学校の屋上に上がると、匠は真新しいスマートホンをポケットから取り出して、ため息をついた

「・・・・んで、こんなことになったんだ」



あの日、突然今まで使っていた携帯が使えなくなった


父親に初めて殴られた

母親がそばで泣きじゃくっていた


でも、俺にはなにも響かなかった

何が起きたかわからなかった

ただ、李生ともう二度と会えなくなったのはなんとなくわかった

なぜいけないのか理解なんか出来ないけれど

どうやら俺は、・・・・李生にも迷惑をかけたに違いなかった、、、


李生の電話番号は記憶していたから、携帯が変わっても電話し続けた

李生の家にも何度も足を運んだ

でも、声も姿も見えなかった

東吾先輩にも連絡をしたけど、研究が忙しいとか、仕事を辞めて旅行に行ってるとか、しまいには「いい加減諦めろ」と言われてしまった



そして、一番理解できないことは


柚くんに助けを求めたのに


拒否されたこと、、、、


大人なんて、みんな


信じられない