#14



「匠、大丈夫?」


瑠璃は、教室の机に伏した匠を覗き込んだ

匠はここしばらく、塞ぎ込んでいる


匠はただ伏したまま、窓から見える空の範囲の雲の流れを呆然と眺め、瑠璃の声に答えない

瑠璃は構わず続ける


「・・ね、今日気晴らしにみんなでカラオケでも行こうよ!
中間も終わったことだしさ。ね?」


「・・・さい」


「え?なんて言った?行く?」


瑠璃は、匠の視界を遮り覗き込んだ

と同時に窓から風が吹き付け、必要以上に匂う瑠璃の甘ったるい香水の香りが匠の鼻をついた

匠は一瞬眉間に皺を寄せて、今度はハッキリと言った


「うっさいんだよ!」


「ひどっ・・・、なんであたしがそんなこと言われなきゃいけないわけ!?」


瑠璃は、グロスを塗りたくった唇を噛み締めた

匠は、瑠璃の甲高い声にハッとして席を立った


「・・・ごめ、ちょっとイライラしてるから。また今度な」