#11


ザァーーーーー
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とうとう激しい土砂降り

あの時のわたしも

その中にいた


いわれもない罪で

同級生の女子生徒たちから、罵声と投石で傷つけられたあの日

あの川原

いつか入水自殺してしまおうかと思った川原で

柚希が救ってくれた川原で



わたしはただ真っ暗な空の下の

泥のような土砂降りの中

冷え切った手にたくさんの涙と泥を握り締め

元担任の坂野との約束をはたすすべを

なにもっていない自分の無力さに泣くしかなかったあの時


突然、頭上の雨だけが遮られた

目線のすぐそばに黒い靴

わたしはギクリとし、息を呑むとゆっくり上を見た

この土砂降りで、自分の泣き声で、すぐそばまで人が来ていたことさえ気がつかなかった


真っ赤な傘のその下で見下ろす


‐‐‐‐ーーー 東野森 志紀(トウノモリ シキ)先輩