自分の店に戻る途中、咲子が予想していた通り、匠からすがるような電話をもらった

思ったより早い匠からの連絡に、柚希は少し戸惑ったが言った



「ごめん、匠・・・ 俺、お前のこと、応援できそうもない」



俺はもう、李生を誰にも渡したくないんだ・・・



降り出した雨は、電話を切った後にきっと泣き崩れた匠の涙のように思えて、柚希は胸が痛かった

だから、その雨に打たれることを避けようとはしなかった


避けてはいけない


避けては通れない路を、これから行こうとしているのだから



・・・・匠、本当にごめん


そして、李生


どうか今度こそ


俺を受け入れて・・・・