「・・・・俺、・・・さ」


柚希は、政宗のすべてを見透かされているような瞳から目を外らし、先ほど咲子が置いていった紙切れを小さくたたみながら言う


「ああ」


「・・・もう、後悔したくないんだ」


「だから?」


「・・・お前はさ、どんな俺を見ても幻滅しないか?」


「なんで」


「俺、今、ただ欲しいものを手に入れたい、それしか頭にない。誰かを傷つけることなんて、なんとも思わないぐらい、やなやつになってる」


「で?」


「・・・・」



いつの間にか、外は黒い雲で覆われていて、まだ四時過ぎだというのに、真っ暗になっている

時より稲妻が走ると、遠くで雷が鳴っている

今にも大粒の雨が落ちてきそうだ


「いいんじゃないか、それで。別に俺は嫌なお前なんか見飽きるほど見てきてるし、さほど驚かないさ」


柚希が黙ってしまったから、代わりに政宗が言った

柚希はその言葉に黙って頷いて、咲子がくれた紙切れを握り締めた



もう後悔はしたくない、その思いだけで、政宗の店を後にした