‐Flower Grden of EDN‐

・・・・


「おい、大丈夫か」


「ぁ、・・・ああ」



政宗が近づいてきていたのにも、気がつかなかった

柚希は、咲子が残したメモをとって、それを開き目を落とす



「咲子さん、珍しく取り乱してたな。喧嘩でもしたのか」


政宗は、咲子が去った後のテーブルを片付けながら言った


「・・・いや」


姉弟喧嘩ならまだ良かったかもしれない


「じゃあ、なんでそんなに落ち込んでいるんだ」

政宗は片付ける手を休めて聞いた



「・・・あのさ、・・いや、やっぱいい」


柚希は言いかけて、やっぱり親友にこんな話はで出来ないと思った

自分の恋バナぐらいならまだしも、それに甥っ子が絡んでくるなんて、どんな恋愛相談だ



「やっぱいいって、お前に解決できるとは思えない顔してるけど」


政宗は先ほど咲子が座っていた椅子に腰掛けた

柚希の他に客はなく、どうやらゆっくり話を聞いてくれるらしい

どうしてこういう時だけ、こいつは妙に親友らしいそぶりを見せるのだろう

普段はクールな奴だから余計、政宗が優しさを見せたとき、すんなり愚痴をこぼしてしまう

それがわかるだけに、ため息をついてから仕方なく、事の次第を政宗に話した

それは大学時代、忘れられない人がいると話した時以来の恋話だった