「社会人だし、仕事もあるから。」
適当に答えながら口元を緩めた。
その言葉に、残念そう顔をしながら。
「そうなんですか…宝条さんなら、華組のMSになれると思ったんですけど。」
「あはははは。他にもいっぱいなりたがる人はいるし、華組って元々はマンガ活動とかに専念できるよう、企業が1年、広告活動をしてもらって、その報酬という名目の給料をもらえるマンガ家の奨学金制度でしょ?」
「でも、今は巨大なアイドルグループになっちゃったしね。」
私の背後から急に声をかけてきたのは、トイレに立っていた一緒にサークル参加してる泉希(みずき)
「宝条さん、もし華組に入るなら、応援しますね!!」
そう言って、両手で小さくガッツポーズをすると、女の子達は消えて行った。
「やっぱ、言われたね。」
隣に座った泉希がニヤッと笑った。
「一番、触れられたくなかったんだけど…」
そう言いながら、フウッとため息をついた。
「ほら、あそこ、華組受けるみたいよ?」
まるで私のため息なんか聞こえていないかのように、ななめ向かいの席を指差した。



