「………」
喉が渇きすぎて突っ伏している俺に、前席に座る友人、加賀 啓が「運が悪かったな」と笑い掛けてきた。
「運が悪いどころの話ではない」そんな言葉を飲み込み、何事もなかったかのように涼しげに微笑する。「水をくれ」と言う言葉も忘れずに。
「白露って何気に負けず嫌いだよねー。……外見に似合わず」
啓はそう呟きながらも渋々天然水を渡す――と思いきや、啓は何かを思いついたかのような顔をし、ペットボトルの蓋を取ってそのまま俺の口に近付けてきた。
…このまま飲めと言うことでしょうか……？
引き攣った顔を目の前に向けると、啓は輝くような笑顔を浮かべた。
