「黒瀬杏(クロセ アン)!」 「はっはい!」 高校の入学式。 校長先生が口にした私の名前が体育館に響きわたる。 その響く声の返事に私は声が裏返った。 クスクスと声が私の周りに飛び交う。 は、恥ずかしい… だけど、皆も緊張しているようで、すぐに小さい笑い声は消えた。 一年生だから、皆一緒。 目をつけられないように、ゆるんでない制服、髪型、黒い髪… 「え…?」 私は目を疑った。