僕は、5歳の頃に

この病院に連れてこられた。

連れてきたのは、白髪の似合う全身黒尽くめの男だった。


僕には、両親はいない。

いや、覚えていないと言うべきか。

ココに来た時から、それ以前の記憶がなかった。


身体が弱く、学校もままならなかったからか

この病室にも誰も来た事がない。

そう、友達と呼べる友人はいない。

なんとか入った、今の高校でも出席率が低くて

一年留年している。

本当なら、3年生なのに2年のクラスにいる。


この世界の全てが、僕を否定しているようで

キラキラひかる太陽でさえも、僕には色褪せて見える。